ベイクドパンケーキ

なんか気がついたらまた夏が終わってて外が涼しい。このブログを読み返してみると「夏が終わる」ことに対してよく言及していて、この時期は自分の中でも結構特別な存在らしい。自分のことって案外よくわからない。他人に教えてもらうこともよくある。

新しいアルバムがでます。11月1日にでます。「BOOTLEG」というタイトルです。今日それの最後のrecがあるんだけど、最後にして一番重要なrecになると思う。とても楽しみだ。これ多分めちゃくちゃいいアルバムだよ。自信を持って言える。毎回言ってる気がするけど。

二ヶ月ぶりくらいに家に帰った。作業になると作業場に缶詰になってしまう。誰かに強いられているわけでもなく、そうしていないと落ち着かないから。音楽に呪われていると思う瞬間がある。何をしていても音楽のことを考えてしまう。何を見ていてもその奥に言葉やメロディーが隠れていないか探そうとしてしまう。健全な精神と肉体があればそれに越したことはないと思う。しかしどうにも音楽に生気を吸い取られていく感覚が離れない。そういう悪癖のせいで周囲の人間を傷つけてきたなと後悔する。でも選んだのは自分なので仕方がない。楽しいんだよ音楽って。やめらんないんだよどうしても。

とにかく色々と疲れていて、ドバイやらハワイやらなんかハッピーそうなところ(すいません)に移住できないか思案していた時期に、誰かとの待ち合わせのような顔をして街の往来をぼーっと眺めていたことを思い出す。右から左に左から右に通り過ぎていく一人一人の内側に、数十年分の経験と記憶がギチギチに詰まっていることを想像して、その膨大な情報量にクラクラしていたこと。120パーセント話がかみ合わないような人たちとの間にも存在する共通項が、その膨大な分母の中に一体いくつあるのか探していたこと。計画性のないバトル漫画のようなインフレした数字を前にして笑ってしまう。笑っているうちに、そもそも本当に存在するのかどうかもわからないものを血眼になって探している自分を発見して馬鹿らしくなる。宇宙はでかい。エウロパに生物がいるのかどうか確かめる術はないけど「いる」と思って生きたほうが面白い。自然に死ぬまでの間に見つかったらいいなあと思いながら、その日はコンビニでコーヒー買って帰った。