突発的に開かれた飲み会を終え、帰りの扉を開けると、朝の日差しと一緒に煙たいくらいに冷えた空気が鼻の奥を刺す。店に着いた真夜中の頃とは明らかにルールが変わってしまった街をフラフラ歩きながら、猥雑に流れるBGMから逃げるようにして帰る。なんとなく夏のジリジリした湿っぽい感じが恋しくなって、夏っぽい曲を聴きながら何か半年後の予定でも立てようかとあれこれ思案していく。そのうちに、いつか誰かに言われた「お前は病的に計画を立てるのが下手だ」という言葉にぶち当たり、今度はそこを直さなきゃなと、自分のことの癖に人事のような、プロトタイプのモビルスーツを扱う整備士みたいなことを思う。楽しいことがしたいね。
リビングの明かりを点けたら、バチっと大きな音を立てて、最後に一瞬の閃光を残したまま二度と灯らなくなった。何かが死ぬ瞬間っていうのは得てしてこういうもんなのだろうと勝手に納得する。去年の暮れから人の死をずっと見つめ直していたから尚更だ(Lemonはいい曲になった)。人生が続いていくにあたり、そりゃあみんな当たり前に歳をとって劣化していくもので、そのうちの一つ、また一つと目の前を通り過ぎていくたびに、身の回りには様々な死が潜んでいることに気がつく。おいそれと「新キャラが登場しました」というわけにはいかないからこそ生きるのは面白いのに、人間は可愛いのでそんな当たり前のことさえも忘れようとする。彼らはまたどこか知らないところで元気にしているだろうか。形をなくしてしまったもの、目には見えなくなってしまったものの輪郭を何もない空中でなぞることによって、それを浮かび上がらせて取り戻そうとする。畢竟、自分が音楽を作る理由はそういうところにある気がする。
この間いい感じの腕時計を見つけたので、衝動的に買ってみて、なかなか気に入ってたんだけど、たぶん失くした。そんなことも一年後には綺麗さっぱり忘れてしまっていると思うので、ここに書き記しておく。